先に約束をしていたあきちゃんは私からの断りを聞いても嫌な顔ひとつしなかった。それなら別の日にしよう、と話をしたその日の終業後に駅ビル周辺を物色することになった。
 夏物処分セールははじまったばかりで、短時間でも吟味を重ね、あきちゃんはスカートとブラウスを二枚ずつ、私もスカートとパンツを買った。
 食事も済んで帰ろうとしたとき、あきちゃんがあと一軒寄りたいところがあると言い出した。

「これなんかいいんじゃない?」

 ナイトウェアの店だった。真っ白いふわふわしたデザインのパジャマを選ぶと、あきちゃんはなぜか私に押しつけて、

「似合う。かわいい。ぎゅーってしたくなる」

「かわいいよ、かわいいけどさ、露出多くない? パンツの裾短いし。あきちゃんが着るぶんにはいいけどさ」

「このくらい普通だよ。見せる人を選べば済む。ちゃんと選んでね。あ、これちょっと早いけど誕生日プレゼントね」

 持っていたかごに入れて会計へ向かう。レジで広げられたものを見て、さらに私は驚く。ピンクの下着の上下まで一緒にラッピングされている。さっきあきちゃんとお揃いの色違いで買っちゃおうかって盛り上がった品物だ。
 出口で店員からショッパーバッグを受け取ったあきちゃんにそっと近づくと、にこりと笑みを向けられた。

「これは私が責任を持って、しかるべきルートで葉月ちゃんに届くようにするからね」