ほとんど告白じゃないかと、言ってから思った。身を固くしながら反応を待つ。
峰岸さんの最近のブログにイタリアンを食べにいったという記事があった。更新日は大久保さんたちと一緒に社屋から瑛主くんが出てくるのを待ったあの日になっていた。懐かしい人と再会したとかどうとか、浮かれた文章が綴られていた。家で記事を読んでいた私は、危うく持っていたスマートフォンを壁に投げつけるところだった。
『いいよ、食おうか。飯』
通話を終えるとどこにも寄らずに待ち合わせ場所へと向かった。電車で少し行ったところにある駅そばの雑貨屋。コスメや流行の小物を扱うショップのまえは人待ち顔の姿が目立つ。
私のほうが早く着いたようだった。瑛主くんはあの通話の後、しばらく電源を落とすと言っていたので、到着の連絡はせずにそのまま待つことにする。
「お疲れ!」
横から強く肩を叩かれて、驚く。現れたのは瑛主くんではなかった。
「ははっ、その顔、傑作!」
「至近距離で指さすのやめてくださいよ。で、どうなっているんですかこれは」
向けられた指をぐいっと掴んでおろさせて、私は詰問する。そこにはサワダさん(仮)が立っていた。首にかかっているのはいつかの瑛主くんが締めていた似合わないネクタイ。なにかがおかしかった。
「瑛主くんになにが起きているんですか」
今夜私と食事をすると決めた時点で、瑛主くんはすべてを打ち明ける気でいたらしい。場所をサワダさん(仮)のマンションに移して、適当に買ってきた料理を食べながら話をすることになった。瑛主くんとはマンションの下で合流できた。瑛主くんが来るまでは、と私が頑なにサワダさん(仮)の部屋に入ろうとしなかったからだ。
「峰岸ありさが俺んちに入り浸っているんだ」
私はパストラミビーフのサンドにぱくついているのをいいことに、相槌も打たずに瑛主くんの話に耳を傾ける。
「昔の交際相手とはいえ、もうあっちは結婚しているんだし、ややこしい事態になるのは避けたくて。で、こうして連日、山田の家に泊めてもらっているってわけ」
会社で待ち伏せされている時点で充分ややこしい事態になっていると思うんだけど。
それともうひとつ。
「山田って誰?」


