「ん?ふわふわしてるから?」
「いや、そうじゃなくて」
いつまでたってもトイプードルネタを忘れずに返してくる清良君が可愛くて、さっきまで悲しかったのに急に元気が出てきてしまった。
なんだかそのことがすっごくありがたくて、するりととんでもない言葉が出てしまった。
「いつでも子ども達のこと考えてくれてて、あったかいなって。私そういうところ好きだよ」
「え!?」
清良君のびっくり声に、自分の言った言葉が急に恥ずかしくなって「いや、その!子どものこと考えてるってところが好きってことで、別に清良君のことが好きってことじゃなくて!」と、ものすごい早口で訂正を入れた。
「大丈夫、そんなに慌てなくても分かってるから」
清良君は、何事もなかったようにハハッと笑って、私が届かない窓ガラスのてっぺんを腕を伸ばして拭いてくれた。
そういうさりげなく優しいところも『好き』なんだけどな……と思いながら、目の前の窓ガラスをごしごしと拭いた。
『好き』なんて――――――。

