清良君の体が少しだけ私の左腕に触れ、どきんと心臓が跳ねた。



「どうして目にタオル当ててるの?」



「寝不足で……目にクマが出来ちゃってさ」



「昨日のこと気になって寝られなかった?」



「そうだね……」



「そっか。今日江渡館長に相談してみよう。児童館遅番だけれど、早めに行ってみる?」



「うん、そうだね。昨日話しましょうって言ってたし、その方がいいかも。9時の電車で行こうか」



「うん。大丈夫だよ、きっと」



清良君は、また昨日のように私の頭をぽんぽんと撫でて立ち上がった。

タオルのあたたかさは、とっくに無くなってしまっていたのだけれど、私はタオルを目から離せずにいた。

年下の清良君に心配されてしまっている情けなさと、頭を撫でられてドキドキしてしまっているのが混ざった複雑な心境になってしまい、どんな顔で清良君を見たらいいのか分からなくなってしまったのだ。



「もう30分もそうしてるけど、そろそろ準備しないと9時の電車に間に合わないんじゃない?」