江渡館長は、美晴ちゃんを自分と向かい合わせになるようにして抱っこした。
すると、不思議なもので、さっきまで泣いていた美晴ちゃんの大きな声があっという間に収まった。
江渡館長は美晴ちゃんの耳元で「大丈夫、大丈夫」と小声で繰り返しながら、ゆっくりと二階へ上がっていった。
私はその後ろを追いかけるようにして階段を上がった。
*
江渡館長は美晴ちゃんが落ち着くまでずっと抱っこしてくれた。
美晴ちゃんの髪の毛についた泥が江渡館長の顔にべったりとくっついているのを、一切気にすることもなく……江渡館長は、ただ黙って抱っこをし続けた。
そのうちに美晴ちゃんはうとうととし始め眠ってしまった。
目の行き届く館長室のソファーにそっと移動させ、上から毛布をかけた。
すうすうと息を立てて眠る美晴ちゃんの顔は、とっても穏やかだった。
「なんで体に泥なんてつけたのでしょうか。こんなこと初めてで……」
「そうね。最近元気がないなとは思っていたのだけれど……きっと理由があるはずなのよね」
江渡館長は、美晴ちゃんの髪の毛を優しく撫でた。

