「とりあえず、コートとか脱がせよう。体が熱いままだと、気持ちも落ち着かないだろうから」
泣きわめく美晴ちゃんは、コートを脱がせる私たちに特に抵抗するわけでもなく、だまって脱がされていた。
「私、着替えとかタオルもってくるね」
「ありがとう、よろしく」
職員室へ向かう千夏ちゃんとすれ違ってやってきたのは江渡館長だった。
「いったいどうしたの?」
「全く分からないんです……気づいたら外にいて、自分の体に泥をつけていたんです。」
「泥を!?」
「はい……」
床に寝転がるようにして足をバタバタしながら泣き叫ぶ美晴ちゃんは、まるで赤ちゃんみたいだった。
「子ども達も集まってきたし、二階の相談室に移動させましょう。他の子ども達に見られていると落ち着かないだろうから」

