園庭作業用のために下駄箱にいつも入れている長靴を履き、グラウンドへ出ると、そこにいたのは美晴ちゃんだった。
泣きべそをかきながら、ぐちゃぐちゃになったグラウンドの泥を真っ赤なコートやズボンに自分からべちょべちょとつけていた。
「美晴ちゃん!」
その異様な行動に私は驚き慌てて美晴ちゃんに駆け寄った。
「どうしたの!?」
駆け寄ってきた私を見上げた美晴ちゃんだったが、しばらくするとまた体に泥をつけ始めた。
「やめて美晴ちゃん、汚れちゃう!」
私は慌てて美晴ちゃんの行動を止めようと、美晴ちゃんの手を止めるようにして握ったが、美晴ちゃんは「やだ!やだ!」と言って私の手を振り払うと、今度は髪の毛に泥をつけ始めたのだ。
どうしてこんなこと……。
美晴ちゃんは、止めなければどんどん体に泥をつけてしまう。
私は美晴ちゃんの後ろに回り込んで、美晴ちゃんの脇に自分の両手を入れるようにして無理やり抱きかかえた。

