「この楽譜のドのところの上に数字が書いてあるの分かる?」
「うん。3って書いてある」
「そうそう!その数字は3番の指で弾いてねって決まりなんだ。ゆっくりでいいからやってみて」
柚希ちゃんが清良君が教えた通りに、ピアノを奏でる。
「なんか弾きやすい!」
「そうなんだよ!一回で出来るなんて柚希ちゃんすごいね!」
柚希ちゃんは褒められて、清良君に頭を撫でられて……とても満足そうだ。
最初清良君は、子ども達のことをうまく褒められてなかった。
だからほんのちょっとだけアドバイスしたんだ。
子ども達は共感したり褒められたりするのが大好きなんだって。
「そうそう」とか「すごい」とか「そうなんだ」とか。
特に小さい子ども達にとっては、魔法の言葉で、これを言われると不思議と満足する。
清良君は素直に私の言葉を受け取って実践している。
言われたことを素直に出来るって才能だと思う。

