清良君は、フライパンを準備して火にかけて冷凍庫から出した餃子を焼こうとしたのだけれど、後ろの説明書とにらめっこし続ける一方で、なかなか焼こうとしない。
隣でサラダをお皿に盛り付けながら、火で熱くなる一方のフライパンが心配になった私は、その火をパチッと止めた。
「あ!なんで消しちゃったの?」
「火にかけすぎて熱くなりすぎちゃ、危ないでしょ?清良君ずっと餃子の裏の説明書見てなかなか焼かないんだもん」
「だって、失敗したらいやだし……」
「冷凍餃子で失敗なんかしないって。貸して」
私は清良君の手に持ってる餃子を袋から取り出すと、フライパンに綺麗に丸を描くように並べて、水を1センチくらい入れてから蓋をして火をつけた。
「え!?説明書と違うんじゃない!?」
「いいのいいの。この子たちはこっちの方が美味しく焼けるから」
「そうなの?」
「そうそう。中の水分がなくなるまでは強火のままだからね。そうなったら教えて」

