「……というか……これ、え!?」
私は清良君の周りに集まった子ども達のように純粋なきらきらした目で清良君を見ることができなくて、それは意外というか驚きというか……そもそもそこに座ってピアノを弾いているのは本当に清良君なのか?
信じられなくて動くことができなかった。
だって、清良君の弾いていたのは、バリバリのクラシック曲だったから。
ピアノが全く聞けない私にだって一発で分かるクラシック曲。
題名は分からないけれど、CMとかフィギアスケートの演技で使われている曲だ。
柚希ちゃん、こんなの弾けないでしょ!
「マジでやばいー!」
驚いている私の横にはいつのまにか千夏ちゃんがいた。
「やばいね……やばい、本当やばい。何者なの?」
「何者って……清良君に他ならないじゃないですか」
「それはそうなんだけど……」
私は複雑な思いで、ピアノを弾く清良君を見つめていた。

