そして、柚希ちゃんの靴を柚希ちゃんの足元に置くと柚希ちゃんの片手を取って、「どうぞ」と言った。
まるでその姿は、シンデレラに、ガラスの靴を履かせようとしている王子様みたいだった。
柚希ちゃんはもちろん、周りで見ていた子どもたちも私も、その清良君の姿があまりにも綺麗すぎて口をぽかんと開けていた。
普段、どこかちょっぴりだけ抜けていて、ふにゃっとした笑顔を見せる清良君とは全く違う姿。
柚希ちゃんの泣き声はぴったりと止まってしまった。
「どうしたの?痛くて履けない?」
清良君が柚希ちゃんに尋ねると、柚希ちゃんはこっくりと首を縦に動かした。
「膝もすりむいてるし、中に入って手当てしよう」
清良君は、柚希ちゃんをひょいとお姫様抱っこをして持ち上げた。
お姫様抱っこをされた柚希ちゃんは、清良君の顔をじいっと見つめていた。
「修斗君、柚希ちゃんの靴お願いできる?」
「おう」
修斗君は柚希ちゃんの水色の靴を持つと、清良君の後ろを追いかけるようにしてついていった。

