「私がおススメなのは、このシリーズかな。ファンタジーなんだけど世界観があってどっぷりはまれる感じなの。あ、それとこれもいいかも。主人公の女の子が彼氏の影響でバイクの免許を取って、いろんな人に出会うお話」
私は白いカラーボックスにびっしり詰まった本の中から、清良君に合いそうな本をひとつひとつ指さしながら説明した。
「俺、女の子がバイクの免許とってっていうの見たい」
「いいよ。はい」
私はカラーボックスから本を取り出して、清良君の差し出した両手にぽんと置いた。
「小説読むってめったにないからなあ。読み切れるかな……」
「普段何読んでるの?」
「もっぱら漫画か、ビジネス本かな」
「ふうん?漫画は分かるけれど、ビジネス本なんて読むんだ?」
「漫画が8だとしたら、ビジネス本は2くらいなんだけどね。色々参考になるし」
「なんの参考?」

