「だって、そういう大事な人いるのに、俺を家に泊まらせてるって、よくないことでしょ?」



「ああ。その件なら全然大丈夫。私彼氏いないから」



「そうなんだ、それなら良かった……って、俺また今日も泊めてもらうつもりでこんなこと言ってますが……」



清良君は、申し訳なさそうにぽりぽりと頭をかいて、私の顔を覗き込むようにして見た。



「……行くところないでしょ?冬までの間だったら別にいいよ。使ってない部屋もあるし。それに……」



私はそう言って、清良君のふわふわの頭に手を伸ばしてもふもふと触った。



「トイプードル、好きだし」



「ありがとうございます!」



清良君は、私に『トイプードル』と言われても悲しむことはなかった。

どうやら、自分がそういう存在っていうことを認めたらしい。



「その変わり、お給料が入ったら最低限の生活費はいただきますからね」



「了解です!よし!この機会にこの仕事マスターするぞ!とりあえず今日は、戦いごっこのイロハを教えてくださいね!」



そう言って嬉しそうに私に微笑んでくる清良君が可愛く感じた私は、気づけばまた清良君の頭を撫でていた。