「おっ……お前、ひきょうだぞ!」
案の定修斗君は、私の設定に乗って来た。
「いい?あなたたちは人質だからね!仮面ライダーツインズに助けを求めるのよ」
私は両脇にいた女の子二人に耳打ちをして、協力してもらうように頼んだ。
「助けて!ツインズー!」
さすが、女の子は賢い。私は、「いいね、最高!もっと言って!」と二人を盛り立てて、悪者役に徹することにした。
私は平均台の前に立ちはだかり、エプロンのポケットの中に潜ませておいた、おもちゃの拳銃を取り出して、修斗君と清良君に向けた。
「人質を返してほしければ、私を倒すことだな!」
「くそお!ブルー、俺は右から行く!お前は左から行け!」
修斗君にそう言われた清良君は、たじたじとしながら「お、おう」と、はっきりしない返事を返した。
「いくぞ!ダブルアターーーーーーーーーック!!!!!」
走り出す修斗君に、遅れをとった清良君は慌てて走り出すも、必殺技ダブルアタックに間に合わなかった。
私は、片手で修斗君のアタックをガードして、「すきあり!」と言って、「バンバンバン!」と、三発の銃弾を清良君に打ち込んだ。
しかし清良君は、倒れることもなにもせず、私たちをぽかんと見つめてるだけだった。
「……清良先生って、つまんないのな……」
ぽつりと呟いた修斗君の言葉がプレールームの冷たい空気をちょっとだけ揺らして、消えた。