「彩音先生、こんにちは!」
「こんにちは!走ってきて疲れてない?」
「うん、全然疲れてないよ!」
「手洗いうがいしっかりするんだよ」
私がそう言うと、「はいっ!」というお手本みたいな挨拶に交じって、「あいあいさー!」と敬礼を返してくる子がいた。
修斗(しゅうと)君という坊主頭がトレードマークの小さな男の子。
この子は、他の子に比べてちょっぴり幼くてまだまだ〇〇ごっこという遊びが抜けない。
ちょっと心配なところがある子だけれど、子どもっぽさが母性本能をくすぐり、ついつい構いたくなってしまう男の子だ。
修斗君は靴を脱ぎ、下駄箱へ入れずに中へ入りドタドタと、重いランドセルを背負いながら廊下を走って行ってしまった。
「修斗君、走っちゃあぶな……」
止めようとした時、案の定職員室から出てきた清良君の足にぶつかり、修斗君の丸い体がボールのようにころんと転がった。
その衝撃で清良君の体もよろよろと後ろによろめいた。
「うおっ!びっくりした!」
清良君が驚いていると、修斗君は跳ね返るように起き上がり、「お前どこ見て歩いてんだよ!いてーんだよ!」と吐き捨てるように清良君を睨んだ。

