子どもを3人育て上げた甲本さんの言うことだから、そうなのだろうかと妙に納得してしまう。



「それより、今日はこれから大雪になるみたいだけど、電車大丈夫?もしかしたら止まるかもしれないから、早めに帰った方がいいんじゃない?」



「でも……大丈夫ですか?」



「大丈夫よ。親御さんたちの会社も大雪になるからって早めに終わってるみたいでね、迎えも早いみたいだし」



世話焼きの甲本さんは、私が答える間もなく「ほらほら」と言いながら背中を押してロビーで子どもと一緒に折り紙を楽しんでいた江渡(えと)館長の元に連れて行くと、いつもの早口で理由を説明して、あっという間に私が早く帰れるよう手はずを整えてしまった。







電車はまだ大雪の影響を受けていなかったようで、時間通り動いていた。

私は10分ほど電車に揺られ、自宅アパートがある駅へと降り立った。


駅舎から出ると、ハイカットのスニーカーがあと少しで埋もれてしまうんじゃないかというくらい外の雪はさらに降り積もっていた。