もう日が落ちていてその取り出したものは何か分からなかったけれど、それが何を意味するものなのかはすぐに分かった。
左手の薬指にはめられたそれは、折り紙で出来た指輪だった。
「美晴ちゃんに作り方習ったんだ。即席だったからこんな偽物っぽいのしか準備できなかったけど、気持ちはすっごく入ってるから!」
「うん。ありがっ……とう」
「それで、この箱はこの指輪を入れて置くための箱だから!これは難しかったから美晴ちゃんに作ってもらったんだけど」
私か溢れる涙をぐしぐしと手でふき取りながら、美晴ちゃんが作ってくれた小箱を受け取った。
「ということで、俺今こんな中途半端な状態だし、これで彩音さん縛り付ける感じにしちゃうのもどうかなと思ったんだけど、俺ちゃんと考えてるから。彩音さんとのこれからも。だから、落ち着いたら俺のところに来て下さい!」
私は迷うことなく、下げられた清良君の頭をよしよしと撫でた。
そして、「お手」と言ったら、清良君は出会った日と同じように「わん!」と言って私の手に自分の手を乗っけた。
私たちは目を合わせて笑いあった。
「必ず行くよ」
「しっぽ振って待ってます」
左手の薬指に光った銀色の折り紙で出来た指輪は、街灯の光に当たってきらきらと光った。
精一杯手を振って見送った私の愛しいトイプードルは、こうして旅立っていった。
END

