千夏ちゃんは私の顔を覗き込みながら心配そうに隣に並んで歩いた。
水の中に少しだけ液体洗剤を流しいれ、水の中に沈めてあった雑巾を取り出して、ぼやっとした頭をしゃきっとさせようといつもより力いっぱいしぼり、ふうっと大きく息を吐いた。
千夏ちゃんは下駄箱に入っているスリッパを私に手渡しながら「考え事ってなんですか?」と聞いてきた。
私は手渡されたスリッパを受け取って雑巾で裏側をごしごしと擦った。
千夏ちゃんには清良君のことなんて言えないよなと思いながら、沈黙を守っていると、「助けたワンちゃんのこと考えてたんじゃないですか?」と、ちょっぴりだけ清良君のことを濁しながら聞いてきた。
「え!?」
「ったくぅ。彩音先輩と清良先生見てたら、なんかあったことくらいすぐ分かりますよ。二人ともぎくしゃくしちゃって、こっちの方が気をつかっちゃいますよ!」
千夏ちゃんは「やっぱりなあ」と言いながら私の横に次々とお客様用のスリッパを並べていった。
「清良先生に……告白されたんじゃないですか?」
千夏ちゃんは穏やかな口調でそう言いながらどこか寂しそうに笑っていた。

