「おお……そっか。嬉しい」
清良君はテーブルの上に置いてある透明なグラスに入った冷たい水を一気に飲み干すと、「お願いします」と言って七恵さんを呼んだ。
七恵さんに二人分の食事の注文をした清良君は、メニュー表をスタンドに戻した。
何気なく目に入った清良君の指はごつごつしていて、すらりと長かった。
「そんなに長い指だったらピアノ弾くのも楽でしょう?羨ましいな……私指短いから音が大きく飛ぶ曲とか弾きずらくて。いつも指が長かったらなって思ってたんだ」
「まあ確かに。この指はいろんな人に褒められたなあ」
「ピアノ上手だけど、習ってたの?」
「習ってはいないけれど、俺の母親がピアノ得意でさ。時間がある時に教えてもらってた程度」
「へえ!きっと清良君のお母さんって、教え方上手だったんだろうね」
「なんでそう思うの?」
「清良君の子ども達に対するピアノの教え方すごく上手だから。きっと清良君もそういう風にお母さんに教えられたのかなって」

