「うおっ……ちょっと緊張してきた……」



緊張している様子で、ふうっと天井に唇を尖らせて細い息を吐く清良君。

そんな清良君を見ていたら、なんだか自分も緊張してきてしまった。



「そんなに緊張しなくても……二人で買い物することはしょっちゅうあったし、それとそんなに変わらないとは思うよ?」



「いやいや、そんなことないよ。あれは食材や着るものがなかったから仕方なくだったけれど、今回のはそういうのじゃないじゃん。あ、そうだ!俺、彩音さんの好きなもの知りたいし、今日は彩音さんが好きな場所に連れて行ってよ」



「え!?それじゃあお礼にならないんじゃない?」



「いや、なるなる!今俺が望んでるのは、彩音さんのことを知ることだから」



真顔で私を見つめながら、力強く言い切る清良君の言葉に、顔がカーッと熱くなる。



「彩音さん、すっごく顔赤い。照れてる?」



にこにこしながら顔を覗き込んでくる清良君は、まるで無邪気な子どものようで、その無垢さに、言い返せず可愛さすら感じてしまう。

こんなからかうようなこと言われたら、いつもの私なら言い返しているところなのに……それを封じてしまうほどの無邪気さは、子ども達が困った時に繰り出す『無敵バリア』なみの威力だ。