「別の用事って……美晴ちゃんのことの方が大事でしょ?私のことなんて別れたんだし、どうでもいいことじゃない?」
「美晴さんは、別に……サポーターの人がいればなんとかなってたし、俺としてはそんなに切羽詰まってなかったよ。それより、真面目に聞いて欲しいことがあるんだ」
「それよりって……拓海は美晴ちゃんの担任でしょ?美晴ちゃんより大事なことなんてないでしょ?」
「お前まだそんなこと言ってるの?子どものことは二の次で、自分のこともう少し考えるってことはないの?」
「私にとっては子ども達が第一。お互いその考えが合わなくて別れたんでしょ?私が自分のことより子どものことを考えるなんて拓海が一番分かってるんじゃないの?」
「そう怒るなよ。俺、喧嘩するためにここに来たんじゃない」
拓海は綺麗に整えられた髪の毛をぐしゃぐしゃっとして、はあっと大きなため息をつくと、何かを決心したように何度も頷いて私を見つめた。
「彩音、俺と結婚してくれない?」
「!!」
意外な言葉に私の思考は完全にストップした。
それと同時に、美晴ちゃんのことを口実にして嘘までついて、『そんなこと』を言いにきたのだと思うと腹立たしくて、悲しくて。
改めて目の前にいる思いやりのかけらも無い男に愛想が尽きた。

