〜9時半〜
「早すぎたかなぁ...」
デートでもないのに早く来てしまった。
お母さんがあんなこと言うから...


〜昨日の夜〜
「あらっ!じゃあ明日は男の子とデートなのね!いいじゃない!!青春ねぇ〜。」
うちのお母さんは明るい性格で私とは正反対の性格で、私はどちらかと言うとお父さんに似たらしい。それを気にして何かと恋愛の話をしてくる。

「デートじゃなくて買出しに行くだけだってば!勝手に話を盛らないでよ。」
「そう?でもその佐野くんって子から誘ってくるってことはあんたのこと嫌いな訳では無いんでしょ!そこから...恋が...」
「無いからっ!!もうおやすみっ!」

「んもー!ねぇお父さんどう思う...?」
「さぁーな...」
「あの子昔から恋愛の話なんてしたことないからいい人に出会えるといいけど...」
「郁美がしないと思ってたらいい人も何も無いだろ。母さんは少しその話に執着しすぎだ。」
「そんな事言ったって、あの年頃は青春してなんぼの時期でしょっ!」


【ガチャ。】
「はぁ〜。もうなんなのよ。」
ため息をしながらベットに倒れ込む。
「佐野くんは後輩だってば...」

第一、私なんかが恋愛って...
そうブツブツ言いながら明日の準備をした。


…………


「はぁ〜。これじゃなんか楽しみにしてるみたいじゃん。まだ少しあるしどっかでブラブラしてようかなぁ〜。」
そう思って駅前の本屋に入ると...

「えっ?...」
そこには本を読んでる佐野くんがいた。
「あっ。先輩...」
「佐野くん!集合10時だよね?」
「早く着いてしまって暇になってたので本を読んでたんです。先輩もかなり早いですよね?」
「……」

2人とも笑ってしまった。
そして本屋を出て買出しに行った。


〜ショッピングモール〜
「あとは、筆...」
「筆はこれですね。」
「ありがとう。」
話しながら歩いてると聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「なぁ。部活終わりだし、ちょっと寄り道しよぜー!」
そこには大勢で歩いているサッカー部がいた。
1人と目が合って思わず思いっきり目を逸らしてしまった。
「先輩...?どうかしたんですか?...」
「えっ?...あっ!ごめん。もうレジ行って大丈夫だよね?ごめん。」
「いえ。俺行ってきますよ。」
「え?あっ。」
そう言って買い物かごを持ってレジに行ってしまった。

すると、後ろから話しかけられた。
「海島さん?……だよね?」
「え?」
振り向くとそこには叶多の姿があった。
「やっぱりさっきの海島さんだったんだね。……もう一人いなかったっけ?」
「いや、あの...」