その日の部活はあまり覚えてない。ただ静と話したことが延々と頭によぎってた。
部活が終わって、静と電車にのってさっきの会話が浮かぶ……

気になるヤツ...。海島さんは気になるというか、あの絵を書いた人を知りたくて話したわけであって。って、俺何考えてんだ。

「気になるんだろ?」静から言われて我に返った。
「え?は?違うし。」
「どうした、叶多。何言ってんだよ。」
「え?」
静はきょとんとした顔でこっちを見てた。
なんだ?そう思って静が指さす方を見ると、電車の窓に貼られてる広告があった。

“綺麗な海を見ながら、良いひとときを過ごしませんか? レストランカフェ ocean”

「海って全然行けてないよなぁ。行きて〜。なぁなぁ今度一緒に海行こうぜ。」
「あ、おう...」
なんだ、びっくりした。海か...。

それから静が降りて1人その広告をもう1回見ていた。
レストランカフェ oceanかぁ...。そのレストランの写真を見ながらぼーっとしてると、そのドアが開いて、電車の奥に行った。

……ん?あれって...海島さん...だよな。
「海島...さん?」思わず声をかけてしまった。
「はいっ!!」と大きめの声で言ってきた海島さんの声にびっくりした。
「あ...とあの、なんかごめん...」
そう言うと、ゆっくり振り返ってこっちを見て
「.....っ!登坂くん...」意外な人物だったらしく、しばらく固まっている様子で
「ごめん。いきなり声かけて...昨日も見かけたからつい声かけちゃって……」
「あ、いえ。あの、今部活終わったんですか…?」
「うん。海島さんは?」
「今日は...友達と遊びに...」
「そうなんだ...あっ!海島さんここで降りるよね!?」
「はい……」
「また明日ね。」
「あ、はい。」

そして電車を降りて、発車して行った電車を見ていた。
その電車が見えなくなって、そのまま家に帰った。

家に帰って、ケータイで広告のレストランカフェのoceanを調べた。
なんで調べたのかはよく分からなかったけど…
それから、布団に入ってしばらく考え事をしてた。今日の事や昨日のこと。それにあの絵の事も。