【ガタン、ガタン……】
「はぁー。やっと着いた。」
外嫌いの私には長い……長すぎて気分転換にならないよ、お母さんっ!
そう思いながら結局お母さんの言っていた海に来てしまった。ブツブツ言いながら坂を降りて行くと……
「すごい...。誰もいない。」
てっきりカップルがいると思ってたから意外だった。

それから、数枚写真を撮ると堤防に登って座った。
「ふぅー。意外に気分転換になったなぁ」そう言ってさっき撮った写真みてると...
「いいよね。この海。」と後ろから聞こえた声に慌てて振り向いた。
「えっ?あ、はい...」
「ごめんね。いきなり話しかけて。」
「あ、いえ...」
その男性はニコッと笑うと
「あまりにも笑顔で写真撮ってたからつい声かけたくなってさ〜。ここの海穴場だから珍しいなぁ〜なんて思って。」
「え?あ、あの、なんかすみません。」
「ん?ううん。ここの海気分転換によく来るんだけどあんまり人来ないから気分転換にはいい場所だよ〜。」
「そうなんですか...」
「あっ!でもまた来るならさ2つだけお願いしてもいい?」
「.....?」
「ここの海を誰にも言わないこと。それと、また来ることがあったら、この坂のふもとにあるお店のoceanに来て欲しいんだ。」
「.....えっ?」
私はあまりにも唐突過ぎてわからなかった。
「あはは……。んーとね、いわゆるレストランになるのかな?僕が経営してるお店なんだ。」
「レストラン…。」
「うん。是非お待ちしております。ふふっ。じゃあお店に戻らないといけないから…。」
「えっ。あ、あの...」

「またね。」そう言って去っていった男性に渡された名刺を見てみた。

“レストランカフェ ocean”

いったいあの人は何だったんだろう…。そんな事を考えながら電車に乗って家に帰った。