公園は唯一立ってる街灯に青白く照らされ、昼間の賑やかさとは似ても似つかない寂しい…というか若干オカルトな雰囲気を醸し出していた。うーん、ここで一人でお酒を飲むのはさすがに…

動くに動けずしばらくその場で公園を眺めていると公園の中にある数少ない遊具であるブランコに人影があることに気がついた。
時間が時間だけに少し、いやかなりびっくりした。
足はある、ととりあえず確認。一応ね、もしものこともあるからね。
その次に目を凝らして様子を伺う。
そこで再び驚いた。

あの人の知ってる…
いや、正確に言うと見たことがある。
しかも何回も。

最初は確か夜勤明けでここを通ったとき。
仕事が長引いてもう昼近くだったせいか既に子供たちが溢れかえっていて…今思えば学校は休みだったんだよね、あの時間に子供がいるってことは。
まぁ、それはよしとして、その中で一人だけ子供に混じって彼はそこにいた。
その後も不思議なことに何回か彼を見かけた。いつも帽子を深めに被っているせいで顔ははっきり見えないけど、そのほっそりとした体にバランスの取れた筋肉が適度についていて…何というか…私的には趣味じゃないけど男性にエロスってものを感じるとしたら、まさにそれだった。

でも私は惹かれたとかそんなんじゃなくてむしろ嫌悪に近い感情を抱いたのを覚えてる。
彼の回りにはいつも子供が溢れてて、まるで悪巧みの相談でもしてるのかってくらいにみんなの表情が楽しそうに弾けてて。
彼がどんな顔でそこにいたのかは分からなかったけど、みんな楽しそうでキラキラしてて…

それに嫌悪ってかなり私って歪んでるな~。今更だけど。
何をやっても上手くいかなくて、何も決めることができなくて、前にちっとも進めない私だから…妬み…とか?


いや!私はお酒を飲みにここに来たんだ!公園は公共の場、パブリックスペース!彼に遠慮することなんて何もない!
グダグダ考える前にとにもかくお酒だ!


後で思えば無茶苦茶な思考回路でいつもの自分の性格を考えたらあり得ない行動で…。
何度思い出しても顔が熱くなる。

でも、そのお陰で会えたのだ。彼に。