水色ガールフレンド


ガラッ―

ドアを引いて音楽室から去ろうとした途端、突然ピアノの音が止まり、

「あっ、!」

小さな声が背中に届いた。

驚いて振り向くと目が合い、彼女が言った。

「あたし、雨音涼花って言うんだけど、君名前なんてゆーの?」

……名前知らなかったんだ……。

いや、いや、いや!
だけどこれは彼女が俺に興味をもってくれたってことで喜んでいいんだよな?

でも、同じクラスになって3ヶ月が経とうとしてるのに、この様子じゃ多分…そのことすら気付いてないよな…。

初対面みたいな対応だったし…。

はぁ…、俺ってそんなに存在感ねぇ―かなあ?