さほど興味はないのか、何も言わない俺を一目見て彼女は再びピアノを弾き始めた。
静かな空間に、彼女が奏でる滑らかなピアノの音色だけが響く。
“彼女ともっと話したい”
だけど、今この状況で特に話題があるわけでもないし、会話を楽しく盛り上げられる自信なんてこれっぽっちもない。
悩んだ挙げ句、ここに居てもすることはないし、(全然気にしてないかも知れないけど、むしろ俺の存在なんて忘れてるかもしれないけど、もしかしたら)この空間に俺が居ることで気が散って邪魔になってるかもしれないし、結局何もしないまま、沈む気持ちを抱えて一旦教室に戻ることにした。

