水色ガールフレンド


俺が心臓を落ち着かせていると、いつの間にか窓際に移動していた。

その行動に少し気になりながらも、傍によっていいものか躊躇してしまう。

窓越しに外を眺めている彼女の背中を見つめながら、動けないでいる俺に身体ごと振り向いて窓に背を預け口を開いた。

「ところで君、どうしてここに来たの?」

突然彼女の口から発せられた疑問にどう答えたらいいのか戸惑ってしまう。

本当のこと、

“なんとなく早く目が覚めてしまって朝練に行くつもりだったけど、職員会議でなかったことに気づいて教室にいるとピアノの音がしたから気になって音楽室に来たんだ。
まだ誰も来てなかったし、どうせやることもなかったから。”

正確には君がよく音楽室でピアノを弾いていると耳にしていて、その音が君かもしれないと思ったからなのだけど。

そんな都合のいい話も、ストーカーまがいな行動も言えるはずもなく黙っていると再び彼女は口を開いた。

「まだ、聞いてなかったから。
さっき話してくれてたけど、どうしてここに来たのかは聞いてなかったでしょ?
まあ、なんとなく気になっただけだから別にいいけどね」