そうして連れてこられたのはなぜかベンチのある体育館裏。
「疲れてんだろ。座って。」
「……ありがとう。」
こういうさりげない優しさがまたあたしをダメにするんだよ。
「なぁ、祐梨。」
きっと、なんで俺を避けるの?って聞いてくるんだろうな。
「今、バスケしてて楽しいか?」
「…え?」
景ちゃんから放たれた言葉は予想と違いすぎて驚いた。
「……楽しいよ。ものすごく。」
「そうか。ならよかった。」
景ちゃんは心からほっとしているような顔をした。
「凪咲に無理矢理させられて、嫌な思いしてるかもしれないと思ったからな。」
「そっ、そんなことない!!むしろ、凪咲先輩は好きだよ!」
「ははっ、そっか。じゃあ凪咲にもそう言っとく。」
あ、久しぶりに景ちゃんが笑った顔見たかも。
ここ最近のあたしが見る景ちゃんの顔は、あたしを追いかけたり呼び止めたりする、ちょっと怒った顔ばっかりだったから新鮮。
「なぁ、祐梨。」
「…なに?」
「祐梨が、バスケ部に入りたくないって理由と俺を避ける理由は…同じなのか?」
「………そうだよ。」
あたしのどっちの行動も1年後アメリカに行かなきゃ行けないからっていうのが理由。
でも、景ちゃんには口が裂けても言えない。
言いたくないの。
「その理由は、バスケ部に入った今でも俺に言えないのか?」
「………うん。」
あたしが頷くと、また寂しそうな顔をする景ちゃん。
こうして問い詰められる日々が1年続くのかな…
「そうか。…じゃあ、もう俺は祐梨に理由は聞かない。」
「……え?」
「お前が話してくれるのを待つことにする。」
「………。」
「だから、代わりにお願いがある。」
「……お願い?」
