君と私の甘い嘘。




高校までは自転車で20分くらい。


家から1番近い学校を選んだ。



だって、その方が放課後たくさん遊べそうでしょ?




まるで入学式の日に合わせて満開になったような桜並木を自転車で通る。


うん。これはいい通学路だ。



景ちゃんはもう何度もこの景色を見てきたんだよね。




…って、また景ちゃんのこと考えてる。



だめだめっ。


もう景ちゃんのこと好きなのはやめるって決めたじゃん!




ーーーチリンチリンっ。




1人で悶々と景ちゃんのことを考えていると後ろから自転車のベルを鳴らされた。




その音につられて後ろを振り返る。




「け、景ちゃん!?」





そう。そこにはあたしの悩みの種の景ちゃんがいた。





「祐梨っ、なんで先に行くの。」



「な、なんでって言われても…約束してなかったし?」



「はぁ?同じ高校行くなら一緒に行くに決まってるだろ?」



「え?」




いや、それは別に決まってないと思うんだけど…

そして、いつの間にかあたしと景ちゃんは並走していた。





「ったく、焦った。お前の家行ったらもう家出たって梨咲さんから言われるし…」




梨咲さんとはあたしのお母さんのこと。




「で、でもっ、景ちゃんは彼女とかいたりするでしょ?」




「そんなのいないから。…いいか?明日からは俺が来るまで待ってろよ?」






彼女いないんだ…意外。


いたらいたでショックだけど、好きなのをやめる決意をしたあたしにとっては、いてくれた方が良かった。


しかもこれから毎日一緒に通学とか…絶対だめ。





「……待たない。」



「は?」



「明日も明後日も、これからの高校生活あたし1人で通学する。」




「……なんでだよ。」





それはあたしのセリフだよ景ちゃん。


なんでそんな不機嫌そうな顔するの。





「景ちゃん。」




「なに、一緒に通学しない理由言って。」




「……別に理由なんてないもん」




「じゃあ、明日迎えに行く」




「いやだ。来なくていい。」




「…祐梨。お前なんかあったのか?」




「別になんにもないよ。」




「じゃあいきなりどうした?いつもなら喜ぶとこだろ?」




「…あ、あたしは今日から…」




「今日から?」




「今日から…高校生だもん!!」






そうしてあたしは自分でも訳が分からない返答をして自転車を飛ばして景ちゃんから逃げた。