次の日。
つまり水曜の朝。
あたしはいつも6時半に起きて準備をするけど今日は6時起き。
それは、景ちゃんから逃げるためじゃない。
理由は…
「お母さん、いってきます!」
「いってらっしゃい」
足取りはいつもより軽快だ。
散り始めた桜並木を自転車で駆け抜ける。
ーーガラッ
勢いよく体育館の扉を開ける。
…そこにはもう先客がいた。
「あら、あたしの予想が珍しく外れたわ」
「あはっ、嘘ですよね。あなたはあたしが今日ここに来るの分かってましたよね?…橘先輩。」
「ふふっ、ばれた?それにもう橘先輩はやめてくれる?凪咲でいいわ。仲間になってくれるんでしょ?」
「…はい、IH行きましょう凪咲先輩」
「言ったわね?楽しいなんて思えないほど練習は苦しいわよ?ついてこれるかしら?」
「ついていきます。…そして、あたしはあなたを超える。」
「あら、もしかしたらあたしよりあなたの方が強いかもしれないわよ?」
そう言いながら手元を一切見ずにボールを指で回す凪咲先輩。
「…そんなことこれっぽっちも思ってないくせに…」
「ふふっ、はやく着替えてきなさい。」
「はいっ」
そうして、あたしと凪咲先輩の特別練習は始まった。
