君と私の甘い嘘。




この人…なんで…




「あら?これも違ったかしら?あたしはてっきり、このチームには長く居られない。だから、部に入って楽しい思い出つくるのはただ虚しいだけ。さらに、あなたの好きな景都がいるってなったら…「やめてください。」





「あら、怒らせちゃったかしら?」




「……なんで分かるんですか。」





「ふふっ。当たってたのね。」




「橘先輩。あたしの質問に答えてください。なんでわかるんですか。」




あたしも言い当てられたのに少しムッとなって強気になる。


けれど橘先輩はそれをさらに楽しんでいるようであたしの近くにきてこう言った。





「バスケ部に入ったら教えてあげるわ。」





…しかもウインク付きで。





「さぁ、どうする?入る?入らない?」




「………。」




なんであたしの考えてることを見抜けたのか聞きたい。


でも、部には入りたくない。




「うーん、じゃあしょうがない。祐梨が思った以上に生意気で可愛い子だったから、部に入る条件をあげる。」




条件って…もっと入りにくくなるんじゃ…




「条件1つ目。部に入るのはあたしが引退するまで。」




「え?」



「まぁまぁ、黙って聞いてて。全部聞いた後に返事してもらうから。」




「条件2つ目。男子との合同練習の火曜と木曜は参加しなくていい。」




それって…景ちゃんとプレーしなくて大丈夫ってこと…?





「条件3つ目。さっき条件2つを飲む場合、あたしの毎朝の朝練に付き合うこと。もちろん土日もよ。」




橘先輩、毎朝練習してるんだ…




「さっ、どうかしら?」



「あたしにそんな条件だして、ほかの部員は納得するんですか」



「まぁ、そこは大丈夫よ。あたしが出した条件に反発する部員はいない。」





……たしかに。


きっと橘先輩は誰よりも上手くて、誰よりも努力して部の頂点に立っている。





「それに、もし反発されたらあなたと1on1させるから。」



「え?」



「それであなたがもし負けるようならあなたの力を見抜いたあたしの目は間違ってるのかもしれないわね。」




ふふっ、と笑いながら言う橘先輩。




「大丈夫よ。あたしが間違えたことはない。それにあなたの力を認めてるのはすでに何人もいる。」




「何人も?」





「美夜も創もあなたの話になると自慢ばかりよ。そして誰よりもあなたの力を信じて認めているのは誰なのかあなたも分かってるんじゃないの?」




「………。」





きっと誰よりもあたしを信じてくれてるのは分かってる。


分かってるよ景ちゃん…




ーーキーンコーンカーンコーン♪




「あら、もう終わりのチャイム?それじゃあ期限は来週の月曜まで。入る気になったら朝ここに来なさい。」





“あたしは信じてるわよ”



そう言って橘先輩は体育館を去っていった。