君と私の甘い嘘。




「おいっ、祐梨!逃げるな!」



「じゅあ追いかけて来ないでっ!」




2階から1階への階段をかけ降りる。

というより、飛び降りる。




「祐梨っ、なんで俺を避ける!」



「べつに避けてなんかないし!気のせいだよ!」





ごめんなさい。

めちゃくちゃ避けまくってます。





「気のせいな訳ないだろ!つーか、なんでバスケ来ないんだよ!」



「バスケ部には入らないの!」





もう!喋りながら走るのきついんだってば!


でもあとちょっとで学校を出られる。


学校全部、土足でよかった!


そのまま校舎を出られる!





「祐梨っ!少しぐらい話をさせろ!」




「あたしは景ちゃんに話すことはないの!」




「俺があるんだよっ!」





校舎を出て、校門まであと50mほど。


よし勝った。





…と、思ったのがいけなかった。




ーーパシッ。





「…はぁ…やっとつかまえた。」





つかまりました。

女のあたしが男の景ちゃんに勝てるはずがなかった。




「ちょっ、離して景ちゃん!」



「やだ。」



「あたしは帰るの!」




「帰らせねーよ。バスケ部にこい。」




「だから行かないって言ってるでしょ!」




あたしと景ちゃんのどちらも大声で喋るからかなり目立ってる。




「……っ。場所変えるぞ。」





そう言って、あたしの手を引いて人がいない裏庭まで連れていく景ちゃん。





「で。俺は祐梨に聞きたいことがいくつもあるんだけど。」




「あたしは何も話すことないもん。」




「じゃあ質問に答えろ。まずなんで俺を避ける?」




「だから、別に避けてないって。」




「俺、毎朝祐梨ん家行ってるんだけど。なんでいないわけ?」




「もう学校に行ってるから」




「わかった。じゃあ明日からもっと早く行くことにする。」





いや…それは困るんだけど非常に。




「じゃあ次。なんでバスケ部に入らない?」



「もともと入る気なかったから」



「嘘だろ。お前、絶対入るって言ってただろ」



「気が変わったの。」



「じゃあ、なんだ?バスケもやめんのか?」



「…バスケはやめない。」



「意味分からない。バスケはやめないのにバスケ部には入らないのか?」



「そういうことだよ。」




あたしが景ちゃんの目をみてそういうと景ちゃんは少し黙り込んだ。


そんな姿だってあたしにはかっこよく見えてしまう。






「………祐梨、なにがあった。」




景ちゃんの顔がさっきよりも近くなった。



ふいっと横を向いて別になにもないと言うと、


景ちゃんの右手で無理やり前を向かされる。



そしたら目があってそらせなくなる。





「祐梨。俺に話してみろ。」



「…だからっ、別に何もないって」



「何もないわけないだろ。」



「……景ちゃんには言えない。」



「なんでだよ。」



「言えないのっ。」




だめだ泣きそうになる。



「…っ。祐梨、なんでそんな泣きそうな顔するんだよ。」



「泣きそうになんかなってない!」




「なぁ祐梨。…俺はそんなに信用ないか?」




そう言う景ちゃんの顔はすごく悲しそうだ。




「ちっ、ちがうよっ。」



「じゃあ俺を頼って。」



「…だめだよ景ちゃん。」




あたしは零れそうになった涙を拭ってもう1度景ちゃんを見る。




「景ちゃん。あたしね、景ちゃん離れしないとけないんだ。」




「祐梨?」




「だからごめんね。…ばいばいっ。」




「ちょっ、祐梨っ!」




あたしがそういうとあたしの手を握っている景ちゃんの手が緩んでその隙にあたしは振りほどいてその場を去った。