記憶は私に愛をくれない。




ゼッケンを係員に渡し、レーンの前で羽織っていたパーカーを脱ぐ。




今年新しく買った黒にピンクと黄色のラインが入った競泳水着。




すべてこの一瞬に願いを込め、




「on your mark」




飛び込み台に乗る。




「set………、ピーーーーッッ」








勢いよく飛び込み、私の得意とする泳ぎを繰り出した。