記憶は私に愛をくれない。

しばらく見つめあっていると、陸が急に目を閉じて、その唇を近づけてきた。





陸のそれと私のそれが重なるまでのほんの数秒……。





ふたつが重なった瞬間、


私はぎゅっと目を瞑った。






生まれて初めてのキスは唐突で、



でも、なぜかすごく空っぽな気がした。




それはたぶん、陸の気持ちがあたしに向いてないから。





わかっていたからこそ、辛かった。