「出来上がり」 咲いたばかりの花のように綺麗な笑みで、彼女は言った。 丁寧に磨いてもらった爪は、マニキュアを塗ったみたいにつやつやしている。 「すごい……」 ぽつりと呟いた言葉に、彼女は照れたようにはにかんだ。 「気に入ってくれた?」 「あ、ありがとうございます」 「どういたしまして」 なんでも、くゆりさんはまだお客さんに施術したことはないらしく、僕が「お客さん第一号」なんだとか。それを聞いて、なんとなく嬉しく感じた。