(デートなんかじゃ、ない……) シンクの中の洗い桶に残った泡を、指でなぞる。くしゅ、と音を立てて気泡が潰れた。あっけなく消えたそれが、僕自身のようで少し怖くなった。 デートではない。 少なくとも、彼女――くゆりさんはそう思っているはずだ。 ――僕なんか。 いつでも卑屈な自分が悔しい。