「きゃ~! でかした、湊! さっすがアタシの弟!」

 黄色いのを抱えたまま僕の背中に張り手を連発。姉さんなりの感情表現なのだけれど……ものすごく、痛い。

「はは、どういたしまして……」

 僕は、乾いた笑みを浮かべることしか出来なかった。

 姉さんはと言えば、黄色いのの中身であるプロレスDVD――姉さんの王子様である六田なんとかっていう選手が出てる試合、しかも流血戦の――をぎゅっと抱きしめてご満悦といったふう。こうしてDVDが増えていくたびに姉さんのレパートリーはどんどん増えていって、しかも新技の実験台にされるのはいつも僕。

 ……正直、堪ったもんじゃない……。

 僕はバレないようにこっそり溜め息を吐き出した。