もう道路に出来た水の染みは消えていて、太陽が雲に隠れてしまったのか、僕自身の陰もない。

 僕は目的地へと歩を進めた。

 数歩進んだところで、ふと振り返る。

 視界には、少し遠くなった白と赤の京都タワー。

 京都タワーのてっぺんを見上げると、空は夕暮れ色に染まっていた。

 あまり馴染めなかった京都の街が、ほんのちょっと好きになった。そんな瞬間だった。