僕はどうにもこの街に馴染めなかった。 もともと、僕は東京の生まれだ。東京といっても、県境の田舎町なのだけれど。 僕には、姉がひとりいる。それも、とびきり気の強い、やや自己中心的な。 その姉が半年ほど前、京都に店を出すと言い出した。なぜ京都なのかという疑問は、彼女にとって愚問なようだった。 姉の夢の道連れなんだ、僕は。