引き戸がそろそろと開き、彼が顔を覗かせた。ぐるぐると巡る思考が現実に引き戻された瞬間だった。 「着替え、終わりました?」 こくりと頷いた彼。 あたしは彼から濡れた服を預かると、脱衣所の洗濯機に放り込んだ。彼はいいと言っていたけれど、女物のTシャツ――しかもピンクの――で帰すのは悪いし……と、ちょっと強引だったけれど洗濯することにした。