す、と、くゆりさんは僕の両手を取って

「よろしくね、彼氏くん」

 ものすごく優しい笑みをくれた。

 小さくて白くて、ほとんど肉の付いていない手。なのに、どこか柔らかで。

 僕の手を包むそれを握り返し、意を決して言う。

「あの……くゆりさん」
「うん?」
「……僕が好きなのは、その……くゆりさん、ですから」

 彼女は一瞬ぽかんとした顔をした。けれどすぐに吹き出してなにそれ、と笑った。

 自分の顔が今、かなり赤いだろうことがわかる。それはもう、ありありと。