「み、湊、くん……?」

 あたし、今、抱きしめられてる。

「――僕じゃ、駄目ですか」

 彼の言葉に、胸が高鳴った。

「無理して笑わないで下さい。自分に嘘、
吐かないで下さい。……僕に、嘘、吐かな
いで下さい」

 背中に感じるぬくもり。耳元で囁かれる声音は優しくて、酷く切ない。

「僕……僕、普通じゃないけど、でも……」

 ふんわりと、紅茶の香りがした。

「くゆりさんが、好きです」