そういえば、唯くん前に私と電話した時に嬉しいこと言ってくれたっけな...。
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「私っ、唯くんと電話するのなんて初めてだからなんか緊張しちゃうな〜」
「俺もドキドキしてる(笑)」
「じゃあ、同じだねっ!」
「そう言えば俺...
ずっと望和に話したいなと思ってたんだけど」
「なっ、なにー?」
「俺、実は中1の時から望和のこと
少し気になってたんだよ?」
「えっ?!ちゅっ、中1?
なんでっ?」
...そう言えば唯くん
前に私に、
『俺それならもっと前から石井さんに
告白すれば良かったなーなんて。
後悔してる。』
って言ってくれてたなぁ。
ずっと気になってたんだよね...
なんで、唯くんは私の事を知っていたのか。
確か、関わりはなかったはずなのに。
ん?
そう言えば唯くん、ずっと無言だなぁ。
「ん?どうしたの?」
「ごめん
ちょっとなんか恥ずかしくなった(笑)」
恥ずかしがるなんて、
可愛いなぁ。
「よし!じゃあ、話すよ?」
そして、唯くんは話してくれた。
「俺さぁ、実は中1の時
すごい太ってたんだよ。
それで、クラスメイトの女子から結構
からかわれてたんだよね。
廊下で女子とぶつかったりすると
嫌な顔されたりしててさ。」
嘘?!
唯くんに、そんな時代があるなんて...
知らなかったなぁ。
「でもさー、ひとりの女子だけはなんか違ったんだよね」
「そっ、その女子が私だったってこと?」
「うん。
廊下で物を落としたりしても、
笑顔で拾ってくれて...
あっ、この子
優しいんだなって思っているうちに
いつの間にか望和に恋したんだ」
「...」
嬉しくて嬉しくて、
声がでない。
「こんな単純なことだけど、
望和にあの時から恋してた。
本当に好きだなと思ったんだ。」
唯くんが、私を好きになったのは中1...
っていうことは、私が唯くんを好きになるより
先に私のことを好きだったってことだよね...。
嬉しくて手が震える。
そして、それから唯くんは
卓球部という部活がハードだった為
それで痩せたらしくて。
痩せてから凄くモテるようになったらしく、
私への気持ちを諦めると同時に
好きだと告白してくる女子と付き合うことになったらしい。
そして、
それらのことを唯くんが話してくれた後
改まって唯くんは、私に言ってくれた。
「でも、俺は望和のこといつでも
想っていたんだよ
本当に...
付き合えて俺は幸せです。」
本当に嬉しかった。
そんなに、私を想ってくれていてありがとう。
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こんな唯くんと初めて電話で話したことを
思い出しても、
別れよう
って言ったことを
その時は、後悔することはなかった。


