「さっきなんで逃げたの?」

悲しそうなその唯くんの表情。

目を合わせるのが辛かった。

「ちっ、違う...の。恥ずかしくて。その初めての経験で。嬉しくて。」

言葉が、すらすら出てこない。
ドキドキして、声が震えてまともに発する事ができない。

「その言葉、反則。
俺も夢みたいだ。俺さ、色んな女子と付き合ってきたけど、正直...」


────ガラッ


と、そこにクラスメイトが入ってきた。

ああ。もう良いところだったのに。

すると唯くんは、廊下を指さして私に言った。

「一緒に帰りながら話さない?」

「えっ?!でも……ぶ、部活はいいの?」

「今日、部活休みだから。ね、帰ろうよ」

「うっ、うん!!」

これは、まさに私が思い描いていたシュチュエーション。


ほんとに夢みたい。

私、唯くんと帰るんだ。


────幸せ。