わたしの初カレ。




PM 10:50




────プルルルルルルル♪



唯くんからの着信だっ。


「もっ、もしもし...!!」


緊張とドキドキで思わず声が裏返ってしまった...。


「こんばんは望和」



「こっ、こんばんは!!」



「今日は俺の家にきてくれてありがとう」



「こちらこそ!!
急に...家にお邪魔してごめんなさい。」



「そんな謝らなくていいよ?」



「...唯くんって本当に優しいね」



「俺が優しい?」



「うん!!そういう唯くんのところがす...」


あっ、やばい。思わず今、『好き』って言いそうになった。


「...えっと、やっぱり唯くんって紳士だなーって!!なんかいい夫とかになれると思うよ!!」



「俺を褒めすぎ(笑)
望和にそう言われて嬉しくなってる自分がいるけど。」



「なっ?!」



そっ、そんなことサラッというなんて唯くんだめだよ。


やっぱり爽やかなとこは、前から変わってないなぁ...。



そういえば、唯くんってなんでエリカちゃんと別れたんだろう。



「ん?望和?
さっきから無言だけど...どうした?」




「へっ?!
いや...あのね、実は聞きたいことがあって」




「ん?なに?」




「ねえ、これ聞いて怒らない...?」




「あっ、俺察したかも。エリカのことでしょ?」



「ふぁっ?!なんで分かったの?」




「だって、最近さ...みんなからそういう質問ばかりされるからね(笑)」




「ごめんね...。やっぱり聞いちゃいけないことだよね?」




「望和が知りたいなら教えるよ?」



「えっ?!教えてくれるのっ?!」



「うん。」



とは言ったものの...、無言の状態が続いた。


やっぱりエリカちゃんと別れた原因とか言うのは辛いのかな...。


あんなにラブラブだったし。


別れそうな雰囲気が、全然なかったカップルだったし...。



約10分以上の沈黙が続いた後、ようやく唯くんが口を開いた。



ずっと携帯を持っていた手のしびれが急に、和らぐ。




「...あ、ずっと沈黙のままだったね。」




「大丈夫!!」




「...ありがとう。
俺さ、自分にエリカだけを愛すって心に言い聞かせながらエリカと付き合ってたんだ。」




「...うん」




「でも、本当にエリカが好きだなって思っていた時期もあった。
周りに付き合っていることを何と言われようと...俺が守るんだって。」



唯くんの真剣な声のトーンが、心に突き刺さる。


...やっぱり、唯くんはエリカちゃんを愛していた...。




「でも、俺の心の中には無意識のうちに望和がいたんだ。」




「...わ、私がっ?!」




「うん。
別れたこと、ずっと後悔してる自分がいたからね。」




「...」




「エリカと別れた原因は、多分...エリカにこの気持ちがバレていたからだと思う。」




「...この気持ち?」




「望和のことが好きだっていう気持ち。」