「だから...何?」


金髪の唯くんは、やっぱり怖い。


言い方も、私が知っている唯くんとは違う。



...やっぱりこの前の公園で唯くんが赤面したあの出来事は、私の思い込みが激しかっただけなのかな。




唯くんは、エリカちゃんに赤面しただけかもしれないし...。



「なに、うじうじしてるの?
...もうすぐ俺の彼女が来るんだけど。」




「...ごめんなさい。」



あーあ、自分ってば結局何も言えなかった。


私は渋々、自分のクラスである3組の教室へ戻ることにした。




はぁーあ、もう唯くんは本当にエリカちゃんにベタ惚れしてるのか...。



別れを告げた自分が悪いのになぁ...。




「...アンタ1組の教室に行ってたの?」



この声は...エリカだ。


...少し怒ったよな声だなぁ。


もしかして、私が1組へ唯くんと会う目的で行ってたの勘づいてるのかな?



...さすが。女のカンは怖い。



「...え、エリカちゃん。おっ、おはよー。」




「なに、そのぎこちない挨拶。
...やましい事でもしたの?」




「え?!え、私は1組に...あっ!!
るると話すために1組に行ったの!!」




...ぎこちない喋り方になったけど、上手く誤魔化せたかな?



廊下に沈黙が続く。


廊下を歩く他の生徒達がチラチラと私達を見ている。


しばらく沈黙が続いた後に、エリカちゃんが口を開いた。



「んー。それ、なんか嘘っぽい。」



「え?!うっ、嘘ついてないよ?!」




「うーん。まあ、いっか!!
唯はアンタのこともう、好きじゃないからね!!
唯はね、私ひとすじだよ〜っ」



だよ〜っと言って、軽く飛んだエリカちゃん。



元カノに動じないエリカちゃん...さすがです。



もう、これは私が唯くんへ抱いている気持ちを諦めるしかないのか...。




あーあ、今日は明日休みで嬉しい嬉しい金曜日なのに朝から気分がさえない。




そうだ!



友達と、バカみたいに笑って気分転換をしよう!!



るると星莉ちゃんは、学校来てるかな〜。



ルンルン気分で、スキップをしながら廊下を歩いた。



るるちゃーーん。星莉ちゃーーん。




3組の教室へ行くと、星莉ちゃんがいた。



「星莉ちゃん!!おはよう!!」




「あっ!!望和ちゃんおはよう...」



あれ?元気ない?どうしたのかな。



「星莉ちゃん?どうしたの?」



「...望和ちゃんは、怒らない?」



「へ?」



「...やっぱり、望和ちゃんもるるちゃんみたいに怒るよね?」




「え?...怒る?」



全く、状況が掴めない。

星莉ちゃん...暗い顔して、一体どうしたんだろう。




でも、このまま話を聞かないのも嫌だし。



「私は怒らないから、何でも話して!!」



「望和ちゃん...それ本当?」



「うん!!」



「...実はね...」


星莉ちゃんの声が小さくなっていく。




「.......彼氏、出来たんだ。」



「...へ?」