「そーいえばっ!!
星莉の秘策って、お姉さんのことだったの?」


と、息を弾ませながらるるが星莉ちゃんに聞いた。




「うん、そうだよ。

...実は私、夏未(なつみ)さん、あっ夏未さんって言うのは浩司くんのお姉さんの名前なんだけれど...。

その夏未さんの所へ行って、女子の先輩達に私と浩司くんがいとこだって分かるように言ってって頼みに行ったの!!」



「...そうだったんだぁーー!
って星莉、いつの間に頼みに言ってたの?!」



「そうだよ〜!!

気づかなかった!!」



そう話しているうちに、


「お昼休みの時間となりました。


次の競技は13時20分から開始されます。」


と言うアナウンスが流れた。




ちょうどタイミング良く、私のお腹がなる。



3人で笑い合いながら、それぞれ親がいるテントへ向かった。







────そして、あっという間に体育祭が終わった。




体育祭の片付けが終わり、帰りのSHRを体操着のまま受けた。


そして私と星莉ちゃんは、るるがいる教室へ向かった。



...でた。


廊下に、エリカちゃんと唯くんカップルがいる。


毎回毎回、廊下でイチャついている。


まあ、いつものようにスルーしよう。



...と思ってたのに。



「ねー!望和ちゃぁーーん!!

写真撮ってくれなぁ〜い?」




「え、え?!」



思わずカラダが拒む。


「ね、お願いっ!!

ここ、押すだけでイイからっ!!」



必至になって頼んでくるエリカちゃんに負け、写真を撮ることになった。




...目が合った。



私は目を逸らしてしまった。



やばい。


未練があるって思われてしまう。



「ねえ望和ちゃん。大丈夫?」


と、心配して星莉ちゃんが小声で言った。



私は、笑顔で頷いた。



普通に、ハイチーズと言って写真を撮ろうと思っていたのに、エリカちゃんが見せつけるように唯くんのほっぺたにキスをする。



そして、唯くんはエリカちゃんのほっぺたを軽くつねる。



────なんかイライラする。




このイライラは、きっと嫉妬とかではないはずだ、うん。



「じゃあ撮りますよ。」



「はぁ〜いっ」



「ハイチーズ。」パシャッと、シャッター音がなる。



持っているカメラを壊してしまいたいような気持ちだがグッと抑えた。




「あ、こんな感じでいい?」


私は無理矢理、笑顔をつくりエリカちゃんにそう言うと、わーっと喜んでくれた。



「ありがとっ!!」



私にそう言うと、エリカちゃんはさっそくまた唯くんに抱き着く。



私がジーッとその光景を見ていた為、星莉ちゃんが私の手を力強く引っ張る。



────?!


思わずバランスを崩してしまい、後ろにいる唯くんの方向へ倒れそうになった所を...唯くんが反射的になのかどうかは分からないが、私の背中を支えた。



ふわっと香る、懐かしい唯くんの匂い。
柔軟剤、変えてないんだ...。


って、なんでこんなことばかり考えるんだろう...はぁ。



「あ、ありがとうございます」

私は敬語で唯くんにそう言うと頭を下げ、るるが居るであろう1組の教室の中へ駆け込んだ。



久しぶりに触れた手。


背中に残る唯くんの香り。



────なんで。



こんなのズルイ。



振ったのは私からだったはずなのに、何でこんなに...。




────ドキドキする...。