「あ、湖ちゃん。私、家コッチ。じゃあね。」

「あ~…、うん。分かった。んじゃ。」

「明日ね~。」
 と、桜(サクラ)は手を振った。

 帰り道。

 友達と別れ、細い林道の向こうにある神社(あたしの家です。)へと向かう。

あたし一人しかいない暗く寂しい道。木々を脅かすように、曇り空の中でカラスが不気味に鳴いてみせた。

「早く、帰ろう…。」

 胸騒ぎのしたあたしは小さく呟いた。

 日が沈んだ。でも家はまだ見えない。

 その時、バサバサッと鳥の羽根のような音がして、あたしの前に姿を現した。