きっかけは、大学4年生の就職活動である。

趣味に熱中し過ぎてしまったあまり、大学卒業間近になっても就職先が見つからないと言う状況になってしまった。

幸いにも近所のスーパーマーケットが求人を募集していたので、あたしはパートとしてだけど鮮魚売り場で働くことが決まった。

就職先は何とかなったけど、問題はこれからの方である。

もしかしたら…いや、もしかしなくてもこのまま行ったら娘は結婚できないんじゃないかと、両親が将来を危惧し始めたのだ。

例え結婚できたとしても、晩婚になる可能性だってある。

何としてでも早く孫の顔が見たい両親は、あたしを結婚させようと躍起になり始めた。

その相手として白羽の矢が立ったのは、父親の友人の息子である朝比奈欣一さんだった。